「うちの子、最近お腹周りに脂肪が」

そう気にしながら、心の中で(まあ、体質だよね)と言い聞かせていた時期がありました。

ある研究を読んで、その「体質」が、もうひとつ別のものを指していたと知った日の話を書きます。


健診で「ちょっと体重が増えてますね」と言われた日

去年の健診で、獣医さんに「ちょっと体重が増えてきましたね」と言われました。

わんにょむは5歳のトイプードルで、適正体重は4kgくらい。 その日の測定では、4.6kgでした。

「肥満気味ですね」とまでは言われなかったけど、「これ以上は増えないように」と少し笑顔で釘を刺された感じ。

その時、私は心の中で(うちの子、ちょっと食べる量が多いタイプだから)と思っていました。 それは、わんにょむの体質であって、私のせいではない、というつもりだった。

家に帰ってから、ふと考えました。 うちの子のごはんって、毎日私が量って、私があげているもの。 おやつも、私が決めてあげているもの。 散歩も、私が連れて行く時間と距離。

「体質」と言いながら、たぶん私が選んでいる毎日のなかに、太る要素が混じっていたのかもしれない。

でも、それを認めるのは、ちょっとつらかった。 「うちの子が太っているのは、私のせい」と言われている気がして。


カフェの常連さんとの何気ない会話

そんな時期、シニアの愛犬を連れた常連さんと、こんな話になりました。

「うちの子、最近太ってきちゃって」 「私もダイエット中なんで、お互い、頑張らなきゃですね」

笑い話のように話していたんですが、その方が帰ったあと、なんだかその言葉が頭に残りました。

「お互い」って言ったな、と。

その方は、ご自身もダイエット中で、愛犬も太り始めていた。 それは偶然なんだろうか。それとも、同じ家で暮らしていると、なんとなく似てくるんだろうか。

考えてみると、私もカフェで甘いものをつまみ食いする回数が、ちょっと増えていた時期でした。 そのまま自分のことを「忙しいから仕方ない」と片付けながら、わんにょむのおやつも「あと一個だけ」を許してしまう自分がいる。

(飼い主が太ると、犬も太る、ってことあるのかな)

その夜、検索バーに「飼い主 体型 犬 太る 関係」と打ち込みました。


「太った飼い主の78%が、太った犬を飼っていた」研究

たどり着いたのは、2017年に出た研究の話でした。 93頭の犬と、その飼い主の体型を調べた、ちょっと衝撃的な内容でした。

研究では、まずすべての犬のBCS(ボディコンディションスコア)を測りました。 9段階のうち、7以上が「肥満」とされます。

調査の結果、93頭のうち40.9%が肥満に該当した。 4割を超える数字に、まず(多いな…)と思いました。

しかも、もうひとつ深い発見がありました。

太っている、または過体重の飼い主の78%が、太った犬を飼っていたそうです。

そして、肥満と代謝の問題(ORMD:肥満関連代謝障害)を持っていた犬は、全員が太った飼い主の犬だった。 逆に、痩せている飼い主の犬で、代謝の問題が出ていた子は、いなかったそうです。

——「うちの子の体質」じゃなかった。 飼い主の体型と、犬の体型は、強く関係していた。

しばらく動けませんでした。

これは、たぶん「飼い主が太っていると犬も太る」というシンプルな話じゃない。 たぶん、同じ家で暮らしているということは、

  • 同じ食事のリズム
  • 同じおやつへの抵抗力(弱さ)
  • 同じ運動量(少なさ)
  • 同じ「もう少しいいか」の閾値

を共有している、ということなんだ。

つまり、私の食生活や運動習慣が、わんにょむの体型に滲み込んでいた。 「体質」と片付けていたものは、本当は私の暮らし方の鏡だったかもしれない。


自分のおやつとわんにょむのおやつを、同時に減らしてみた

その日から、私は自分の食生活も意識して整えるようにしました。

カフェで甘いものをつまみ食いする回数を減らす。 お昼ごはんを抜かない。 帰宅後の夜食をやめる。

そして、わんにょむのおやつも、量と回数を見直しました。 1日にあげるおやつを、これまでの半分くらいに。 代わりに、撫でる時間を増やす。

これを始めて1ヶ月くらいで、変化に気づきました。

私の体重が、少しだけ落ちた。 わんにょむのお腹周りも、ほんの少しだけ引き締まった。

完全にスリムになったわけじゃありません。 でも、両方の体が、ほんの少しだけ同じ方向に動いた感覚があった。

健診のとき、獣医さんに「あ、体重少し戻りましたね」と言われて、ちょっと嬉しかった。 わんにょむも、なんだか前より散歩で軽やかに歩く気がする。

「体質」と言って自分を責めなくて済む方便にしていたあの頃の私には、ちょっと届けたい変化です。


「飼い主の人生」を整えることが、犬のためでもあった

カフェに来てくれる飼い主さんで、「うちの子、ちょっと太り気味で」と話す方には、最近こうお伝えしています。

「飼い主と犬って、けっこう体型がリンクするって研究があるみたいですよ」と。

驚かれることが多いです。 「えっ、私のせいなんですか」と。

私はすぐにこう続けます。 「責めてるわけじゃなくて、自分の生活を整えることが、犬のためにもなるみたいで」

その方たちは、ちょっと考え込んだあと、「あ、それなら頑張れるかも」と笑います。

「自分のため」だけのダイエットや運動は、なかなか続かない。 でも、「うちの子のため」も入ると、続けられる気がするんです。

明日も、自分の朝ごはんを抜かないように、わんにょむのごはんと一緒に座って食べようと思います。 私が整えば、たぶんこの子も整う。

「体質」と思い込んでいたものは、ちゃんと変えられる場所にあったみたいです。