「トイプーって、もっと社交的でかわいい子じゃないの?」

うちのわんにょむを見て、誰かにそう言われた時、私はちょっと言い返せませんでした。

ある研究を読んで、その「うちの子だけ違う」が、特殊じゃないと知った日の話を書きます。


「犬種のイメージ」と「うちの子」のギャップ

トイプードルって、一般的に「明るい」「活発」「人懐っこい」「賢い」というイメージがあります。 ペットショップでも、「トイプーは社交的で初心者にもおすすめ」と紹介される。

うちのわんにょむは、5歳のトイプー。 でも、「明るい・社交的」というイメージとは、ちょっと違います。

  • 人見知り
  • 知らない犬には吠える
  • カフェのカウンターでも、初対面のお客さまには警戒する
  • お留守番は得意(一人時間を大事にしてる感じ)
  • 賢いけど、自分の意思が強い(しつけが入りにくい)

ペットショップでは「人懐っこい子です」と言われたけど、実際には「独自の性格」を持つ子だった。

そして、私はそれを「うちの子だけ違う」「育て方を間違えたかも」と、ちょっとした罪悪感のように抱えていました。


カフェの常連さんとの話で、気づいたこと

カフェに来てくれるトイプーの飼い主さん何人かと話していて、ある日気づきました。

「うちの子は知らない人だとちょっと警戒する」 「うちはぜんぜん他の犬に興味ない」 「うちはお散歩より家でゴロゴロが好き」 「うちは賢いけど、頑固で命令聞かない時がある」

それぞれが、トイプー一般のイメージとは「ちょっと違う」面を持っていた。 そして、それぞれの飼い主が、ちょっとずつ「うちの子だけ」という感覚を持っていた。

——もしかして、「犬種のイメージ」自体が、犬の個性を見えにくくしているのかもしれない。

その夜、検索バーに「犬 個性 性格 個体差 研究」と打ち込みました。


「動物にも個性がある」という、研究の話

たどり着いたのは、動物のパーソナリティ(個性)に関する総説でした。

研究者たちは、こう書いていました。

動物のパーソナリティ(personality)は、長期にわたって安定した、個体間の行動の違いとして定義される。 これは、犬を含む多くの動物種で観察され、種内・犬種内の個体差は、種間・犬種間の差と同じくらい大きい場合がある。

つまり、「トイプーは社交的」みたいな一般化された犬種の特徴があっても、その犬種の個体差は、犬種の差と同じくらい大きい、ということ。

「トイプーらしいトイプー」と「ぜんぜんトイプーらしくないトイプー」のあいだに、「ラブラドルとプードル」のあいだと同じくらいの個性差がある。 つまり、わんにょむが「トイプーっぽくない」のは、ぜんぜん珍しいことじゃない。

しかも、研究では、その個性の特徴が「生涯にわたって安定」していることが、複数の研究で確認されている、と書かれていた。 つまり、わんにょむの「警戒心強め」「人見知り」「自分の意思が強い」は、変えるべき欠点じゃなくて、この子のパーソナリティとして、生涯一緒にあるもの。

——わんにょむの「うちの子だけ違う」は、ぜんぶ個性だった。

しかも、研究では、動物の個性は適応的(その個体が生きていく上で意味がある)とも書かれていた。 わんにょむの警戒心の強さは、たぶん野生では生き残る確率を上げる特徴。 人懐っこいばかりじゃないことが、この子の強さでもある。


わんにょむの「個性」を、ちゃんと認めるようになった

研究を読んでから、わんにょむの行動を見る目が変わりました。

「人見知り」を「警戒心が強い慎重な子」と読み替える。 「お留守番得意」を「独立性が高い子」と読み替える。 「自分の意思が強い」を「自分を持っている子」と読み替える。

ぜんぶ、「欠点」じゃなくて「特徴」として認めるようになりました。

そうすると、わんにょむとの暮らし方も変わりました。

無理に他の犬と仲良くさせようとしない。 無理に知らない人に懐かせようとしない。 代わりに、わんにょむが安心できる範囲で、その個性を活かす遊びやしつけを選ぶ。

それで、わんにょむの目線が、ちょっと変わった気がします。 「ちゃんと自分のままでいていいんだ」という、リラックスした目線に。


「うちの子らしさ」を見つけるのが、いちばんの愛情

カフェに来てくれる飼い主さんで、「うちの子、犬種のイメージと違うんですよね」と話す方には、最近こうお伝えしています。

「個性って研究でも認められてるみたいですよ。犬種内の個体差は、犬種間と同じくらい大きいって。うちの子らしさを大事にすればいいみたい」

驚かれることが多いです。 「えっそうなんですか、ちょっと安心しました」と。

私もずっと「うちの子だけ違う」と感じてきたから、その表情がよくわかります。

トイプーらしいトイプー」「柴犬らしい柴犬」を求めるんじゃなくて、「うちの子らしいうちの子」を発見していくこと。

それが、たぶん犬と人の関係で、いちばん大事なことでした。

明日も、わんにょむは「うちの子らしい行動」をしてくれると思います。 人見知り、独立心、自分のペース。

それを「育て方の失敗」じゃなくて、「この子という個性の現れ」として、ちゃんと受け取れる飼い主でいたい。

そう思って、明日もわんにょむのままを見ていきたいと思っています。